リン酸の語り処

遊戯王OCG考察・構築案の物置です。

【ファントム・パラダイム】デッキ紹介&解説

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使ってみたいけれど、どう使えばいいか思い付かない。皆さんもこういったカードを見つけた経験があるでしょうか?

何か出来そうだけど特には浮かばない、故に中々デッキが纏まらない……。今回は自分がこのように陥ったカードに着目して組んだデッキになります。難産も難産でしたが1つの形として纏まったということもあり、記事にまとめることにしました。

 

着目したカードは《Sin パラダイム・ドラゴン》、その効果の特異性を利用して《ジャイアント・ボマー・エアレイド》の降臨を目指すコンボデッキになります。

本デッキはOCGch175様に出演させていただいた際に使用したデッキになります。対戦自体も盛り上がる内容になっていますので、動画を視聴いただけるとより動きが分かりやすいと思います。見ろ。

 

 

 

【#遊戯王】歴史を斬る一閃!『ファントム・パラダイム』vs『KALEIDO SWORDSMAN』【OCGデュエル動画】 - YouTube

 

 

 

 

ファントム・パラダイム】(2022.7制限)

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コンセプト

本デッキは《Sin パラダイム・ドラゴン》の活用をコンセプトとしています。Sinモンスターの特徴である高打点であることに加え、星8シンクロを特殊召喚できるという大味な効果を持っており、絶対何か出来そうなオーラを纏っています。

 

 

f:id:h3po4:20220617222229j:imageSin パラダイム・ドラゴン | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

ただ、自分が《Sin パラダイム・ドラゴン》を使う上で拘りたい点がいくつかあり、そこに噛み合うカード群を採用しました。

結論から話すと、《Sin パラダイム・ドラゴン》の効果で《ダークフラット・トップ》を繰り返し利用し、《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を降臨させることを目標としました。

 

f:id:h3po4:20220720202740j:imageダーク・フラット・トップ | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

f:id:h3po4:20220720202745j:imageジャイアント・ボマー・エアレイド | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

上記カードを軸にするに至った理由ですが、下記にまとめた通りになります。詳細はそれぞれ後述していきます。

 ① 星8シンクロモンスターの召喚条件

 ② 名称ターン制限が無いことの活用

 ③ "EXデッキから特殊召喚する“ことの活用

 

 

シンクロモンスターの選定

 

星8シンクロモンスターの召喚条件

パラダイムの効果②で星8シンクロを特殊召喚する場合、EXデッキから直接出す形になるためシンクロ素材の制限を気にしなくていいのが利点です。そのため、できる限りシンクロ素材が厳しいモンスターを使い回したいという気持ちがありました。

シンクロ素材が緩ければパラダイムを経由せずとも普通に出し直せばいいので、「出せなくはないけど2回目はちょっと面倒だな…」くらいのモンスターにしたいという点がありました。

 

この時点で《PSYフレームロード・Ω》や《混沌魔龍 カオス・ルーラー》のような素材制限が緩いシンクロモンスターは、主軸からは一旦外して検討しています。

 

 

名称ターン制限が無いことの活用

パラダイムの効果②には名称ターン1回の発動制限がありません。つまり、効果を使用したパラダイムを退かして新たにパラダイムを出せば、シンクロモンスターを2回出すことが可能になります。(2回出すための手段は後述します)

そのため、パラダイム特殊召喚するシンクロも名称ターン1制限がないモンスターを選定しています。異なるシンクロ2体を並べることも考えましたが、軸がかなり歪みそうであったので1種類のみに絞る方針にしました。

 

 

"EXデッキから特殊召喚する“ことの活用

パラダイムの効果②での特殊召喚が、ただ蘇生するだけではなくEXデッキからの特殊召喚である点に着目しました。その結果、EXデッキから出たモンスターが破壊された時に反応する《ヴァレット・リチャージャー》の存在から闇属性シンクロを選ぶことにしました。

 

f:id:h3po4:20220721083252j:imageヴァレット・リチャージャー | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

結果として上記要項を満たし、且つデッキとしてまとめる際の方針が明確であることから、《ダークフラット・トップ》を軸に据え、最終的に《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を降臨させることを目標にしました。

エアレイドのためにリアクターを揃えるという動きが要項と合致していたのも大きいですが、何を目指すかが明確であるほうが組む際のモチベーションにも繋がるというのもありました。

 

余談ですが、最後まで残った別候補としては《A・ジェネクス・アクセル》がありました。こちらも上記要項を満たしていますが、着地点が明確に見えないということもあり今回は断念しました。もっと別の動きができそうなので、これはこれで見てみたいところではありますね。

 

 

エアレイド降臨の流れ

ジャイアント・ボマー・エアレイド》の召喚条件ですが、《サモン・リアクター・AI》の効果により自身・《トラップ・リアクター・RR》・《マジック・リアクター・AID》の3体を墓地に送ることで特殊召喚できます。各々のステータスはお世辞にも高いとは言えないため、基本的には1ターン中に一気に揃える事を目指します。

リアクターの召喚法ですが、このデッキでは以下の2種を基本としています。この2つを併用する事で一気にリアクターを揃える寸法になります。

① 《ダークフラット・トップ

② 《ヴァレット・リチャージャー

 

エアレイド降臨の流れとして、《Sin パラダイム・ドラゴン》が絡む動きを何パターンか紹介します。この動きだと一気に揃うというものなので、状況次第で変わりますが参考程度にどうぞ。

Sin パラダイム・ドラゴン》はフィールド上に《Sin World》が存在しないと破壊されてしまうため、このデッキでは《彼岸の黒天使 ケルビーニ》のリンク先に特殊召喚するようにしています。紹介するルート例も下記条件を前提としてご覧ください。

 

○共通条件

手札

Sin パラダイム・ドラゴン

フィールド

彼岸の黒天使 ケルビーニ

墓地

ヴァレルロード・R・ドラゴン

ヴァレット・リチャージャー

 

 

○手札にリアクターがいない場合

パターン①:《ファントム・オブ・カオス

 

f:id:h3po4:20220823222514j:imageファントム・オブ・カオス | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

1. 《ファントム・オブ・カオス》で《ダークフラット・トップ》を除外して効果をコピー

→《ダークフラット・トップ》効果でリアクター❶を特殊召喚

2. 除外された《ダークフラット・トップ》を《Sin パラダイム・ドラゴン》の効果により特殊召喚

3. 《ダークフラット・トップ》でリアクター❷を特殊召喚

4. 《ヴァレルロード・R・ドラゴン》で《ダークフラット・トップ》を破壊して《ヴァレット・リチャージャーを回収

リチャージャーの効果でリアクター❸を特殊召喚

 

 

パターン②:《執愛のウヴァループ

 

f:id:h3po4:20220823222612j:image執愛のウヴァループ | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

1. 《執愛のウヴァループ》の効果②で墓地の《ダークフラット・トップ》を除外

2. 手札の《Sin パラダイム・ドラゴン》を特殊召喚→除外された《ダークフラット・トップ》を《Sin パラダイム・ドラゴン》の効果により帰還

→《ダークフラット・トップ》効果でリアクター❶を特殊召喚

3. 《星遺物の守護竜》で《Sin パラダイム・ドラゴン》をケルビーニのリンク先から移動

→《Sin パラダイム・ドラゴン》の制約により破壊される

4. 《執愛のウヴァループ》の効果①でフィールド上の《ダークフラット・トップ》を除外

5. 手札の2体目の《Sin パラダイム・ドラゴン》を特殊召喚

→除外された《ダークフラット・トップ》を《Sin パラダイム・ドラゴン》の効果により特殊召喚

6. 《ダークフラット・トップ》でリアクター❷を特殊召喚

7. 《ヴァレルロード・R・ドラゴン》で《ダークフラット・トップ》を破壊して《ヴァレット・リチャージャー》を回収

リチャージャーの効果でリアクター❸を特殊召喚

 

 

○手札にリアクターがいる場合

1. 何かしらで除外した《ダークフラット・トップ》を《Sin パラダイム・ドラゴン》の効果により特殊召喚

2. 《ダークフラット・トップ》でリアクター❶を特殊召喚

3. 《ヴァレルロード・R・ドラゴン》で《ダークフラット・トップ》を破壊して《ヴァレット・リチャージャー》を回収

リチャージャーの効果でリアクター❷を特殊召喚

4. 《ダークフラット・トップ》の破壊時効果で手札からリアクター❸を特殊召喚

 

 

盤面によって派生するので上記ルートのみというわけではないですが、このカード群が主体になることが多いです。個人的に気に入ってるのは《執愛のウヴァループ》が絡む動きで、コンボ動画っぽい動きがお気に入りです。状況によっては《ジャイアント・ボマー・エアレイド》+《サモン・リアクター・AI》が並ぶこともあるので、見た目もさながらライフへの圧力も相当なものになります。

盤面に《七精の解門》が残っている場合は《Sin パラダイム・ドラゴン》がレベル10であることから、発動コストとして墓地に送った《Sin Territory》を解門の効果で回収できます。これにより例えケルビーニがいなくなったとしてもパラダイムは自壊せず、生き残る限りギミックに関与し続けられます。

上記のエアレイド降臨の動きですが、OCGch175様に出演させていただいた動画にて披露しております。対戦自体も盛り上がるマッチになっているので、動画を視聴いただけるとより分かりやすいと思います。見ろ。

 

 

 

 

 

カード紹介

初動

 

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いかに早くリアクターに触れるかを重視して、オルフェゴールを絡めた動きを軸にしています。初動候補は画像の通りですが、どれを引いたかによって少し動きが分岐します。

 

七精の解門》or《暗黒の招来神

解門関連の動きで《ユニオン・キャリアー》と《暗黒の招来神》を並べ、キャリアーの効果で招来神に《オルフェゴール・ディヴェル》を装備します。その後、この2体で《ギガンティック・スプライト》をX召喚するまでが一連の流れになります。

ギガンティックの効果で《兵隊竜》→《妖醒龍ラルバウール》と出すことで、ヴァレット関係や《ヴァレルロード・R・ドラゴン》、パラダイムといった展開に繋げることができます。特に《ヴァレット・トレーサー》に触れる点が大きく、墓地にあるディヴェルと合わせて《ダークフラット・トップ》のシンクロ召喚も視野に入ります。

 

 

宵星の騎士ギルス》に絡むカード

おろかな副葬》→《オルフェゴール・クリマクス》のように《宵星の騎士ギルス》からスタートする場合は、《オルフェゴール・トロイメア》を絡めながら《オルフェゴール・ガラテア》→《宵星の機神ディンギル》を立てる形になります。《オルフェゴール・トロイメア》の効果でデッキからリアクター(機械族・闇属性)が墓地に落とせるので、ディンギルのX素材化効果と合わせてリアクター2体分を墓地に確保できます。

ガラテアから持ってくるカードは基本的に《オルフェゴール・アインザッツ》として、後続確保を優先しています。ヴァレット関連を引けていれば《ダークフラット・トップ》の召喚に繋げやすくなることに加え、《星鍵士リイヴ》を出す条件になる星遺物の用意もできることが利点です。

 

 

上記のリアクター確保の流れは、解門からスタートした場合の2ターン目以降にも行います。加えて《ダークフラット・トップ》召喚の準備も整うため、解門が引けているかで動きがかなり分岐します。引けるかどうかは祈ります。

リアクター確保から《ダークフラット・トップ》の召喚が狙えるようであれば、基本的には《サモン・リアクター・AI》を優先して出すようにします。リアクターの中で最も戦局に影響しやすく、繰り返し出し続ければバーンダメージでライフを半分近く削り取ることも想定できます。相手としてもバーンダメージは軽視してくれることが多いので、見えないうちに仕事をこなしてくれている所感です。

 

コンボ外のカード

 

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ヴァレットの採用について。このデッキでは3種類+《クイック・リボルブ》2枚の計5枚で運用しています。《ヴァレット・トレーサー》ならびに《ヴァレット・リチャージャー》が主な採用理由になります。

ヴァレット・トレーサー》は《ダークフラット・トップ》の召喚に必要な闇属性チューナーとしての役割が非常に大きいです。加えて、レベル3である《オートヴァレット・ドラゴン》を用意できる点がなお良し。《ジャイアント・ボマー・エアレイド》の降臨のために盤面を整理しつつ、降臨時のコンボに必要なケルビーニを出す補助もできる。完璧。

闇属性しかエクストラから特殊召喚できないという制限も、エアレイドを出す時には影響がないため上手ぶれる点もお気に入り。

 

f:id:h3po4:20220823231445j:imageヴァレット・トレーサー | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

カオス・コア》は《七精の解門》から特殊召喚できるレベル3としての役割が採用理由になります。《彼岸の黒天使 ケルビーニ》を出すため以外には殆どないですが、ごく稀に《PSYフレームロード・Ω》を出す時のレベル調整に使います。

 

f:id:h3po4:20220823233059j:imageカオス・コア | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

Vivid Tail》はリアクターを並べるための盤面整理や《星遺物の守護竜》の再利用が主な役割になります。特にエアレイド降臨のコンボの際にはケルビーニを出すためにエクストラゾーンを開ける等、使い勝手がかなり良いです。

自分自身が《おろかな副葬》というカードを好んで使う関係上、とりあえず入れておいても仕事があるこのカードはかなり重宝します。

 

f:id:h3po4:20220824082821j:imageVivid Tail | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

エクストラデッキ

 

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闇次元の戦士》は擬似的な《Sin パラダイム・ドラゴン》としての運用になります。エクストラデッキから出したこのカード自身もリチャージャーの発動トリガーになるため、パラダイムが出せないタイミングで狙うことが多いです。

今の構築だと出せる機会は少ないので、もう少しレベル帯を調整して出しやすくすることも一考です。

 

ヴァレルロード・ドラゴン》の役割は破壊耐性持ちモンスターの処理になります。ディンギルの墓地送りの効果があるとはいえもう一つの効果を優先して使いたい都合、必要となるタイミングがあると判断して採用しています。《ヴァレルロード・R・ドラゴン》の効果で再利用も狙えるため、最小限の枠で対応できる幅を広げると考えれば十分かと。

見る機会は減りましたが未だに出されると悩むモンスターの1体です。

 

 

f:id:h3po4:20220826082020j:image闇次元の戦士 | カード詳細 | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース

 

 

 

あとがき

本デッキの紹介は以上となります。ここまでご覧いただきありがとうございました。

 

自分の中で納得いく形が掴めず四苦八苦していましたが、何とか纏められた上に動画にも出演させていただいて、良い結果になったのかなと思います。

今回のデッキが難産であったのにはもう1点大きな理由があります。他人のレシピを自分のものだと思い続けていたら、本当に自分のデッキが組めなくなったことです。皆さんも思い込みは程々にしておきましょう、本当に後悔します。

今回このデッキを組むにあたって多くの友人に助けられました。本当に助かりました。もう1人でデッキを組めないレベルで助けられてます。

 

 

現在の構築

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実は現在の構築は動画に出演させていただきた当時から少し変わっています。せっかくなのでそちらのレシピも載せておきます。

 

新弾で登場したビーステッド+《復烙印》の組み合わせを追加して、コンボの基軸になるドラゴン族へ触る手段を増やしました。特に《Sin パラダイム・ドラゴン》へ触りやすくなったため、事故要因でもあった《Sin パラレルギア》を外した点がかなり影響しています。

コンボ要素が大きいデッキのためいつでも使えるかというと難しい点はありますが、自分の中でもギミック然り組み合わせに満足する形に纏められた実感はあります。過去にリアクターに挑戦した際は机上の空論のまま終わってしまっていたので、今回のように動画という形で残せたのは大変ありがたいことですね。

 

 

閑話休題

改めまして、ここまでご覧いただきありがとうございました。何か少しでも響くものがあれば幸いです。本レシピ以外にも、過去に紹介したデッキは現存するものは全てレシピを公開しています。興味がありましたら「リン酸(@wynn_h3po4) レシピ」で検索すれば出てきますので良ければ是非!

 

今年に入って新しく組んだデッキの中でもう1つブログにまとめられそうなデッキがあるので、そちらもその内記事に織り込んでいければと思います。レシピについては上記の通り公開しているので気になる方はそちらで見ていただければ幸いです。

最近気づいたのですが、遊戯王ニューロンの機能にグッドボタンみたいなのがあるそうなので、もし気に入ったレシピがあればもらえると励みになります。承認欲求に支配された怪物にならない程度に応援いただけると嬉しいです。

 

 

それでは、またの機会に。