リン酸の語り処

遊戯王OCG考察・構築案の物置です。

【Ignition Loss】デッキ紹介&解説

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「運命」という言葉の持つ意味を考えたことはありますか?

 「意志にかかわらず逃れることのできないめぐり合わせ」という意味の通り、必然であり受け入れることのみが許されるものであるのが通説。

 

 こと遊戯王においてもそれは同じ。どれだけ念じてもデッキトップは変わらないし、況してや急にエクストラが光って状況を一変するカードが生まれるなんて話は9割方フィクションです。「運命」である以上容易に変えられるものではありません。

 

 では、そんな「運命」を少しでも捻じ曲げられる可能性を持つカードがあるとしたら?今回はそんな素敵な、そして残酷な「運命」を変えられるカードのお話。

 

 

 

 

Ignition Loss】(2021.7制限)

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デッキコンセプト

 本デッキにおけるコンセプトは「《運命のドロー》による逆転・勝利」となっています。このカードはデッキ内の好きなカード3枚のうち1枚を引き込める効果を有しており、まさに「運命」を変えられる可能性を秘めています。しかしその代償として、特殊な発動条件と発動後に制約が課せられるリスキーな面も持ち合わせています。 

 

 

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 《運命のドロー》を使う上で意識しなければならない点ですが、次の2つが挙げられます。

  1. 運命のドロー》の発動条件の成立
  2. 運命のドロー》の活用

 まずはいかにして発動できる条件を満たすか。そしていかに強く使うか。次項よりこのデッキにおけるアプローチの仕方を説明していきます。

 

 

《運命のドロー》の発動条件の成立

自分のLPが相手より少なく、フィールドの攻撃力が一番高いモンスターが相手フィールドに存在する場合に発動できる。

 

 上記の発動条件へのアプローチですが、LPが相手より少ない状態を維持することを意識しました。その上で主軸としたのが《デコード・トーカー・ヒートソウル》になります。ライフをアドバンテージに変換する能力のため、違和感なく相手よりライフが少ない状況を再現できます。

 また、どんな状況であってもライフを下回る状況にできるカードとして《ロスタイム》を採用しています。《成金ゴブリン》との相性も良く、ヒートソウルで払うライフの確保手段としても非常に有用です。

 もう一つの攻撃力側の条件についてですが、こちらはあまり意識していません。意識せずとも満たしやすいことに加え、あくまで“逆転”を演出するためのカードとして見ているので。
有利な状況作っておいて「運命に賭ける!」とか宣う茶番も好きですけどね。

 

 

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《運命のドロー》の活用

 活用についてですが、盤面を解決し得るカードを触れるようにした所謂「銀の弾丸」としての運用となります。ただし、発動後の制約により魔法・罠をセットできないため、手札より発動できるカード群を多く選定しています。
 《サンダーボルト》や《魔鍾洞》などの1枚で状況を返す力のあるカードを中心としているため、銀の弾丸を力で捩じ込んでいくイメージが近いです。

 

 また、《運命のドロー》の制約にかからずどんな状況からでも勝利を狙える手段として「エクゾディア」を採用しました。
「好きなカードを加えられるならエクゾディアが一番強いのでは。」
 誰もが一度考える夢物語、狙えるのならば価値はあるのでないでしょうか。どんなに辛くてもエクゾディアを引けば勝てる、そんな状況が心に余裕をもたらしてくれます。

 

 

 主な動き

ヒートソウルのリンク召喚

 軸となる《デコード・トーカー・ヒートソウル》を早急に立てるために、サイバース族の中でも安定性に長けた@イグニスターを採用しました。《アチチ@イグニスター》と《ピカリ@イグニスター》が相互サーチの関係にあることに加えて、《ダークインファント@イグニスター》からサーチできる《イグニスターAiランド》の存在からリカバリー性能が高いことも魅力です。

 このデッキにおいては《スプラッシュ・メイジヒートソウルとなるため、サイバース族が2体揃う動き全てが初動になります。1枚から《スプラッシュ・メイジ》に繋がるカードは10枚搭載しているため、非常に安定してヒートソウルのリンク召喚が成立します。

 

 

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 @イグニスターから動いた場合は《イグニスターAiランド》等の後続リソースが確保できるため、ヒートソウルが倒されたとしても盤面の立て直しが容易です。@イグニスター以外で動いた場合は代わりに防御系のカードを引いている確率が高いため、使い所を見極めて早めにフィニッシャーに繋ぐことを意識しています。

 ヒートソウルが立たない場合は真面目に《運命のドロー》が引けるかどうかで運命が決まります。祈れ

 

 

後続の展開

 ヒートソウルのリンク召喚後はひたすらヒートソウルの維持に徹するよう立ち回ります。《運命のドロー》を引けない限り罠型コードトーカーの下位互換でしかないので。少なくとも@イグニスター関連以外のカードを引き込むまで、《トークバック・ランサー》や《トランスコード・トーカー》によりヒートソウルの再利用を狙います。

 

 ヒートソウルが生き残っている、または《海晶乙女波動》が引き込めている場合は《海晶乙女グレート・バブル・リーフ》のリンク召喚を目指します。《スプラッシュ・メイジ》で水属性を釣り上げ《海晶乙女コーラルアネモネ》を経由することで出せるため、基本の動きに違いはありません。

 

 

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終盤の動き

 ヒートソウルの効果等で適度にライフが調整できている場合、《ネオス・フュージョン》から《E・HERO エアー・ネオス》を融合召喚することで勝負を決めに行きます。《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》を経由すると更にライフが削れるため、状況に応じて使い分けていきます。

 また、《運命のドロー》と合わせると発動後の制約でエンドフェイズ時の効果が適用されないため、エアーネオスをその場に残すことができます。相手ターンに破壊されなければ《ネオス・フュージョン》の身代わり効果で自ターンまで維持することも可能です。

 

 

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 手札に《封印されしエクゾディア》のパーツが2枚以上ある場合は《運命のドロー》で残りのパーツをトップに載せて勝利宣告をします。ヒートソウルの効果を2回使えるならばそのまま勝ちです。

 もし妨害等で揃えられなかったとしてもギリギリ負けた雰囲気を醸し出せるので、相手に強者としての印象を植え付けられます。

 

 

カード紹介

《運命のドロー》で加えたいリスト

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(紹介カードのテキストは後述)

 

 基本はライフロスを軸とした戦術であるため、防御・妨害手段を抱えるように立ち回ることが多いです。

 中でも《クリフォトン》は延命手段としては非常に強力であり、エアーネオスとの噛み合いもあります。相手ターンに引き込んでも役割を遂行できるため、同じ延命手段である《一時休戦》よりもこちらを優先しています。

 

 罠カードとしては《海晶乙女波動》と《イタチの大暴発》が該当します。

 《海晶乙女波動》はリンク3以上のマリンセスがいると手札から発動できるため、相手ターンに引き込んで役割がある罠カードとして採用しました。このカードの存在からマリンセスを組み込んでいると言っても差し支えない程です。

 

 《イタチの大暴発》についてはセットできない制約で発動までかなりラグが大きいですが、ライフロス戦術である以上このカードを超える防御札はないと考え採用しています。苦手な超耐性持ちにも強く出られるのが非常に優秀です。基本的に腐ることの方が珍しいので枚数は増やしてもいいかも。

 

  攻めに転じる際は《サンダーボルト》や《ネオス・フュージョン》を選出先に含めておき、次ターン以降の攻め手も枯らさないようにできるのが《運命のドロー》の強みでもあると思います。

 というより相手の盤面やライフが一瞬で消し飛ぶのが何よりの快感です。運命にひれ伏せ

 

 

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メインデッキ

 上述したカード以外について、採用理由等も含めて記していきます。

 

 初動の一つである《フォーマッド・スキッパー》のサーチ先ですが、ヒートソウルの召喚に合わせる《ガッチリ@イグニスター》とマリンセスの召喚補助と除外対策として《スクリプト》を採用しています。どちらも選択肢を広げるカードであるため引き込んでも便利なのがいいですね。

 その他の候補としては、戦闘ダメージを大幅にカットできる《海晶乙女クラウンテイル》が挙げられます。元々は採用していたのですが、サーチした後に手札から墓地に送る手段に乏しいため現在は外れています。

 

 《ジェネレーション・ネクス》はライフ差をアドバンテージに変換できるカードとして採用しています。《E・HERO エアー・ネオス》の融合素材を引いてしまった場合に直接コンタクト融合を狙えることも理由の一つです。

 

 

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 しかし、本案での有用なサーチ先が《アンクリボー》程度なので、他を試す場合は真っ先に替える枠かなと感じてます。《クリフォトン》が「クリボー」モンスターとして扱われる運命にならないかな。

 

 《成金ゴブリン》の採用枚数ですが、《ロスタイム》の上限を広げる・《運命のドロー》の条件調整など明確な役割が持てるため3枚としています。

 40枚を超えるデッキに成金を積むか否かは色々と思想が絡みますが、デッキ圧縮を目的としていない、且つどれだけライフ差があっても勝敗に影響しないことも大きいかなと。いずれにせよ考え抜いた上で検討したいカードではありますね。

 

 

 エクストラデッキ

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 エクストラデッキについてですが、《イグニスターAiランド》や《スプラッシュ・メイジ》の制約の都合上、サイバース族を中心として選出しています。

 

 《アクセスコード・トーカー》は非常時の解決手段としての運用が殆どです。というのも、本デッキにおけるアクセスコードは盤面や墓地リソースの消費・相手ライフを大幅に削る・攻撃力がこちらの方が高くなる等、コンセプトと非常に相性が悪いです。相手を轢くこと以外義務教育で習っていないのか疑わしいレベル。

 それでも、このカードの有無で勝敗が左右される場面がかなり多いため採用しています。最悪他の動きを通すためのブラフとして使えれば十分なので。

 

 《スプラッシュ・メイジ》ですが、《デコード・トーカー・ヒートソウル》や《海晶乙女グレート・バブル・リーフ》を狙う都合から複数必要となるため、妨害を受けることを考慮して3枚としています。

 自分のメインモンスターゾーンを開ける事で《イグニスターAiランド》での展開に繋がるため、損失なく盤面を整理できるこのカードが最適であるというのも大きな理由です。バブルリーフのコストとしても最適なので、苦心して使い回すよりは最大限積むほうが早いかなと。

 

 サイバース族縛りの関係で自由度があまり高くないエクストラとなっているので、ここをうまく解消できる術があればさらに精錬できる気はしています。それこそ@イグニスターから拡張できそうではあるので、今後も要検討といったところ。

 

 

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本デッキ【Ignition Loss】の紹介は以上となります。

運命のドロー》という癖は強いけれど非常にかっこいいカード、思い通りに運命を変えられた時の感情の昂りを皆さんも是非感じてください。

そしてこのカードを使う上で一番大切なこと、それは発動条件を如何にスマートに読み上げるかです。

 

このカードの発動条件はライフが相手より下回っており、且つ最高打点が相手の場に存在すること。

 

この文章を一言一句違わず流れる滝の如く詠唱できたのであれば、あなたにも運命を変えられる力がきっと宿るでしょう。これはそんな、運命を変えられるかもしれない力のお話でした。

 

これからの季節、茹だるような暑さがやってくるのでしょう。昔は楽しかった夏も過去の記憶、今となっては憂鬱な気分になったりもします。

それでもあの日過ごした夏は、思い出は。かけがえのない「運命」であったのでしょう。そんな素敵な「思い出~ロスタイム~」のことをどうか忘れないように。

 

それではまた、あの夏で逢いましょう。

 

-fin-